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精子にとっては何がいいのか。健康な精子のための「環境」を考えてたいと思います。

まず最初に言われているのが「温度」です。そもそも、男性の性器が外側に露出しているのは精子が熱に弱いからです。

人間の体温はだいたい36~37てですが、陰嚢は体温より2~3℃で低く保たれています。精巣が精子を作る際に、最も適した温度が33~35℃で前後だからです。

 陰嚢内の温度が上がってしまう病気もあります。これは「精索静脈瘤(せいじょうみゃくりゅう)」というもので、陰嚢の周りに血管の瑰ができる病気です。この塊によって静脈がうっ血し、温度調節がうまくできなくなります。

 陰嚢内の温度が上がり、精巣内の酸化物も増えていきます。精子を作りづらくなり、不妊症となってしまうのです。タマタマはあまり温めないほうが精子にとって快適な環境となりますね。

サウナや長湯が好きな男性にとってはちょっとつらい話ではありますが、タマタマは温めすぎないことが大切です。

その昔、「金冷法」という健康法を聞いたことがありますが陰嚢を冷やすというものですが、精子のことを考えれば、悪くなさそうです。

金冷法について

金冷法とは、古代ローマ、日本では戦国時代から、行われていた睾丸を冷やすことで男性機能を回復させる方法です。

睾丸は男性の体の中でも特にデリケートな部分なので、冷やすとき、温める時は細心の注意を払うようにしましょう。

1.睾丸を冷やす
まず、睾丸に冷たい水をかけ、適温の状態に戻します。
睾丸の適温は体温より4~5℃低い状態なので、およそ31~32℃くらいになるまでしっかり冷やします。
具体的には、陰のうが引き締まり、しっかり収縮するくらいが目安です。

冷やすときは洗面器に水を張って、そこに睾丸を浸してもいいですし、温度を調節したシャワーをかけてもOK。どちらの場合も1分間続け、十分に睾丸を冷やします。

ただ、あまり冷たすぎる水をかけると睾丸に負担をかけてしまうので、1分間続けてもストレスを感じない程度の冷たさに調整することが大切です。

2.睾丸を温める
睾丸を冷やし、陰のうがしっかり縮んだら、今度は温かいお湯を1分間あてます。すると収縮していた睾丸が弛緩し、ゆるんだ状態になります。入浴中にやる方は、シャワーや洗面器を使わず、そのまま湯船に浸かる方が手っ取り早くて簡単です。

3.再び睾丸を冷やす
睾丸が温まって緩んだところで、再び冷水をかけて引き締めます。冷やす→温める→冷やす、と交互に続けることで、睾丸まわりの血行がよくなり、男性機能も効率よくアップすることができます。

通常は1回のサイクルで十分ですが、時間のある方は何度か繰り返すと、さらに高い精力増強効果が期待できます。

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精子によくないのはノートパソコンひざ置き

また精子によくないのはノートパソコンひざ置きです。
ノートパソコンをひざの上に置いて作業に没頭しているのですが、実はこれが精子を弱らせてしまう可能性があるのです。

 ノートパソコンは使用していると、裏や側面がかなり熱くなります。これがタマ付近に置かれるわけすから、その影響は推して知るべし、ですよね。
ノートパソコンは机の上で使うようにした方がよさそうです。

 もうひとつ、身近なもので精子に悪影響を及ぼすと言われているのが、電磁波です。
携帯電話やパソコンから発する電磁波がよくないという論文を発表した人もいました。

携帯電話を腰ポケットなどに入れておくと、長時間、生殖器付近にさらすことになります。ノートパソコンひざ置きも同様です。IT機器は下半身から遠ざけておくほうが精子のため、と言えると思います。

 自分の精子は自分で守る。こうした自衛策も積極的にしていこうと思います。 

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精子の老化の原因は酸化ストレス

精子の老化とは、運動率や受精率が低くなり、全体的に機能が低下することをいいます。

この原因は「酸化ストレス」です。体内に発生した活性酸素やフリーラジカルによって、細胞が傷つくという現象です。

精子は酸化ストレスによって精子に入っているDNAが傷ついて、ダメージを受けて受精しにくくなってしまうのです。

男性不妊症患者の男性の精液中には、こうした酸化ストレスを受けた精子が多いというデータもありますし、体外受精の結果も酸化ストレスと相関しているというデータもあります。

酸化ストレスが高い精子ほど、受精率が低くなるのです。

精子の老化対策には抗酸化

精子老化を防ぐためには、何か効果的なのか。ひとつは「抗酸化」です。「抗酸化」とは活性酸素などの酸化ストレスの害を減らす働きのあるものです。

具体的な成分をあげるならば、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類やカロテン類、コエンザイムQ10などの抗酸化物質です。

これらの成分が入った食品を積極的にとったり、サプリメントで補給することが精子老化の防止につながると考えてもいいように思えます。

実際に、コエンザイムQ10を服用することで、精子の運動率が上昇したというデータもたくさんあります。

少なくとも精子老化防止に効果があるということは言えると思います。
もともと男性不妊患者は普通の男性よりも体の抗酸化機能が低下している傾向があり、精漿(前立腺と精嚢からの分泌液)中の活性酸素が高いことがわかっています。

抗酸化対策を行うことで、酸化ストレスの影響を軽減できることは確かです。
もうひとつは、カロリーリストリクション、つまりカロリーをとりすぎない、ということです。

脂質代謝異常や肥満、生活習慣病にメタボリックシンドローム、現代病のすべてがカロリーのとりすぎに起因しています。

ただし、元をたどれば、これらの病気も酸化ストレスが原因でもあります。心臓や脳の血管にダメージを与えるのも酸化ストレスです。

 抗酸化とカロリーリストリクションを徹底することが精子老化の予防につながるということになります。

 またタバコの活性酸素は精子そのものを減らしたり、DNAに損傷を与えるなど、酸化ストレスの悪影響を総取りになってしまいます。

運よく受精して妊娠しても、うまく育たずに流産する可能性も高くなりますし、血流を悪くするため勃起障害(ED)の原因にもなります。タバコはいいことがひとつもありませんので、妊活には禁煙が必要です。

精子の老化対策は「栄養バランスのいい食事を」「しっかり睡眠を」「規則正しい生活を」「禁煙」といった、どんな病気にでも共通することです。